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備忘録:私の暮らしの中の サイエンス&アート


by alarekko
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またまたワルシャワへ

(最初におことわり:英文部分は全部コンクールの公式サイトからのコピーです。自分では書けません)

今日は、色々待機していることがあって、1日家に居るのですが、
だからといって、こういうことに目が行ってしまって、
いつまでもワルシャワの旅を続けてちゃいけないんですけど・・・
ジレンマ! というより、すでに魅力に負けてる〜

ショパンコンクールの公式サイトから、たまにFBを見に行くと、
いまだに、新しい情報交換があって、
誰それのコンサートがありますとか、コンサート良かったとか、
2010年のCDが出るとか、、、耳寄り情報が・・・
そして、さっき、知ってしまった。
審査員一人一人の点数が公開されたことを。

Score of the participantsの各ステージのページの最後に
The detailed score and the votes of each member of the jury are available in a PDF file under the link
というリンクが付け加えてありました。
その先には、各ステージごとに、
POINTS GIVEN BY THE MEMBERS OF THE JURY OF THE 16 THE INTERNATIONAL FRYDERYK CHOPIN PIANO COMPETITION
という表があります。


開催中、ワルシャワからの音楽を堪能させていただいているうちに、審査の方法がどうなっているか、細かい文書もいちいち公開されていることに気付き、貧困語学力を駆使して少しずつ読んでいました。
そのことはワルシャワ その3 ☆ に書き足していました。

そして、終わってから、
採点表が公表され、
あらたにファイナルステージの表の下になにか英文が付記されたことに気付き、、、。
そのことはワルシャワ その後(その5) ☆ に書きました。

あれは驚きました。
その文章を前は記さなかったので、ここに残しておくことにします。
During the Jury meeting on the 20th of October 2010 at 5 p.m. the Jurors have decided to depart from the system of evaluation of the finalists described in the Rules of the Competition Jury (paragraphs XXI-XXII). The Jurors agreed on a different method of evaluation, regardless of the points awarded in the previous stages – the method which was based on the numerical system presenting the overall results after the competition performances. The Jurors used the integer numbers from the total scale 1-10 (where 1 – the highest value, 10 – the lowest value), with exception of the “students” (as described in paragraphs XI) and with the correction (mentioned in paragraph XV) of 1 point range. It was decided, that the final verdict of the Jury concerning the main prizes will be made before disclosing the names of the participants, similarly to the decisions made during the classification between stages I-III.

私はまず、運営事務局の方々の気持ちになってしまいました。
今回の細かい規則は、特に、最後の最後で大きな差を付けて恣意的な操作ができないように、うまくできてるなと思って感心してたところだったのでねえ。

(会社などでも良くあることですが、)
あんなに周到に準備した審査規則なのに、それを作る過程でどれほどの労力が費やされたか、何百回修正したことか、、、、。
若い音楽家のために、ポーランドが誇るショパンの音楽のために、一番良い方法をと、どれだけ多くの人々の叡智を結集したことか、どれだけのスタッフが頑張ったことか、、、。
そ、そ、それなのに、ああやっと最終日を迎えた、、、あと3人の演奏を残すのみ、、、
そのとき、えええ〜!っという信じられない事態がおこってしまった。
私だったら、「もう〜! やってらんない!」ってほおりだしちゃうよ〜
と、思ったのでした。

でも、たんたんと(バトルもあったでしょうけれど)こういう事実を事実として公開されたことが、すばらしいと思いました。

そこで自分が書いたこと
 『しかし、あんなに細かく規則を決めておいて、
  最後の最後に変えざるを得なかったという、その力関係は何だったのか。
  変えることが、若い芸術家を支援するという本当の目的に対して、
  良いことだったのかどうか。そこまで公開して議論されるべきでしょうね。』
そう思っていました。
決して、誰がいいとか悪いとかそういうことではありません。
日常生活に誰にでもついてまわることですが、評価とは難しい問題です。
決して一律に正しい結論というのはありません。
なので、評価される側も評価する側も、外野(これが一番多い)も、
そういう基本的なことを知った上で、
それでも評価する必要があるときに、より良い考え方、方法を目指さないと、
と、思うのです。



そうしたら、また、さらに情報公開が進んだのです。感動です!

1、2、3ステージの表の下にはこう書いてあります。
Attention: the average of the points has been worked out with the use of the corrective procedure described in the paragraph 15. of the Rules of the Competition Jury.
審査規則15の正しい手順で算出されたと。
これだけだったら、あたりまえのことで、全然 アテンション! じゃ無いと思うんですけれど・・・
(最後まで書いてから思ったんですけれど、表の数字を自分で足し算割り算してみる人がいたら、計算が合わないからかも)

ちなみにthe Rules of the Competition Jury ☆ から、paragraph 15はこれです。

XV
If the number of points awarded by one of the Jurors deviates from the arithmetic mean of the total points obtained by a pianist in a given stage by more than the following:
10 points in stage I,
8 points in stage II,
6 points in stage III,
5 points in the final,
then a second, auxiliary arithmetic mean of the total points obtained by that pianist will be calculated, excluding the deviant marks. All the marks falling outside the above-specified norm of deviation from the auxiliary mean obtained in this way will then be corrected to the nearest whole number within this norm. The final, determinant mean will be that obtained from the marks corrected in this way; it will also provide the basis for the assessment proceedings described in the articles below.

厳密には、英語力および若干の統計学的知識が必要なので、
私には翻訳は、できませんが、、、

ようは、審査員の間で、極端に点数の開きがあった場合に、それを補正すると定めています。
1、2、3&ファイナルの4段階それぞれで考えられていますね。



そして、そして、
FINAL STAGE – POINTS GIVEN BY THE MEMBERS OF THE JURY OF THE 16TH INTERNATIONAL FRYDERYK CHOPIN PIANO COMPETITION
4段階めの表であります。
あくまでも「ファイナルステージのポイント」ですよね。この表は。

そしてこの表の下には、
Attention: the average of the points has been worked out with the use of the modified corrective procedure.
ファイナルステージではモディファイドされたのですね。



今回のすばらしい祭典は、真に優れたインテリジェンスがあって、芸術への理解と、ありえないほどの忍耐力を持ち合わせた事務局の方々がいらっしゃるからこそと、心から思っています。あっぱれ!



ただ、ファイナルラウンドだけの評価と全体の評価とが曖昧になってしまったことは事実なので、ここまできたら、この点についてちゃんと知りたい。
そうじゃないと、『変えることが、若い芸術家を支援するという本当の目的に対して、良いことだったのかどうか。』わからないから。
by alarekko | 2010-12-16 15:44